brake
bearing

ブレーキベアリング

特許出願中

次の耐久試験について


1.はじめに

さて、耐久試験が終わったそのときに、今度は負荷を一気に増加させ、強制的に滑らせたら、ブレーキパッドや相手面がどうなるか?という事に、急に興味が湧いてきたので、そのテストをすることにしました。

つまり最大静止摩擦力を越えるトルクを左右から繰り返し与えると、滑りが発生するので、摩耗とかの何らかの損傷が発生することが予測されます。それがどのサイクル数でどの程度発生するか?を急に知りたくなったのです。

そこで、下のような試験条件で耐久試験を行うことにしました。

・試験条件について
試験条件について簡単に説明します。
ブレーキ圧力は9.8Mpa(100kgf/cm2)です。
左右のシリンダーの加圧力は、上記ブレーキ圧力をかけた状態でベアリングが動く加圧力11Mpaとしました。

このシリンダー加圧力11Mpaによるシリンダー推力は86.4kNで、ベアリングに与える回転モーメントは73.4kN.mと計算されます。
この回転モーメントをベアリングに左右から繰り返し与え、強制的に滑らせます。

2.途中経過と結果

耐久回数68000回で、試験機を止めて慴動面を観察した結果を簡単にご紹介します。

ブレーキパッドは全く摩耗が見られませんでしたが、相手面は平均で10μ程度摩耗し、このような茶色の極めて微細な摩耗粉が発生していました。


摩耗深さなどから比摩耗量を計算すると、9.8×10-11[mm2/N]と求められ、この値からマイルド摩耗の中でも非常にマイルドな摩耗であることが明らかになりました。

摩耗粉の特徴や比摩耗量から、摩擦界面で起きている現象は弱いマイルド摩耗であることが明らかになったのですが、これらの摩耗現象については、笹田直さん、平塚健一さんなど多くのトライボロジー研究者の文献に詳しく説明されています。

さてこの調子で55万回まで回し、その時点でブレーキ力も維持されていたので、この調子ならまだまだ耐久するだろうと試験を止めました。
ちなみに55万回と言うと、滑った距離にすると8000mを越えます、周回数で言うと5000回以上回った計算になります。

前回に接触面がなじむと、当初に比べてブレーキ力が約3倍になったことをアップしました。
そして今回の耐久テストでは、そのブレーキ力は耐久試験の最後まで持続しました。

このことをトライボロジー的な観点から考えると、文献にあるように、”接触面がマイルド摩耗状態になるとその状態がキープされる”ためと考えられます。
つまり一度なじむ(マイルド磨耗状態になる)と、その状態はずっと保持されます。

今回の試験で、なじんだ後のブレーキ力は保持されることが検証されましたが、同様な現象は他の研究者も確認している自然のメカニズムのようです。

原子レベルの凝着力が積分されて巨視的な摩擦力になり、それを利用していると考えると、”世界はつながってる”と驚嘆してしまいます。

さて次回は何をupしましょう?